世界遺産
ソウルにある世界遺産の特集です。ソウルの中心部に「昌徳宮(チャンドックン)」と「宗廟(チョンミョ)」があり、ちょっと市街から外れた水原というところには「水原華城(スウォンファソン)」があります。いずれもソウルの中心部からのアクセスが容易ですので、時間を見つけて訪ねてみて下さい。
昌徳宮(チャンドックン)
ソウルを代表する観光名所である景福宮の離宮として、1405年に建てられ、李氏朝鮮第9代成宗が邸宅として利用していた宮殿です。
1592年の文禄の役の際に、朝鮮の民衆によって放火され焼失してしまいましたが、1615年に第15代光海君によって再建されました。文禄の役の際に景福宮も同時に焼失し、その景福宮が再建される1868年まではここで王が政務を執ったと言われています。景福宮が再建されると、再び離宮として使われます。
その後、1907年に純宗が大韓帝国の皇帝に即位すると宮殿として使用され、そして日韓併合後も李王となった純宗の邸宅として使用されました。後に朝鮮総督府によって改築がなされ、現在の姿となりました。
昌徳宮は韓国に数ある王宮の中では最も保存状態のよいものとして知られており、李氏朝鮮自体の生活様式や趣を感じることができます。
なお、正門である敦化門は韓国で最古の門として知られているほか、敦化門をくぐった先にある錦川橋は韓国最古の橋とされています。最後にアクセスですが、昌徳宮は地下鉄3号線の「安国駅」から歩いて10分ほどのところにあります。
宗廟(チョンミョ)
李氏朝鮮の王や王族を祭っている祖先祭祀場です。正殿には善政のあった王を、永寧殿には悪政を行った王を、功臣堂では李氏朝鮮の功臣数十名を、それぞれ祭っています。1394年末に着工が開始され、翌年1395年に完成するものの、1592年の文禄の役の際に被害を受けてしまいます。その後1608年に再建されました。
宗廟の敷地内にはあまり建物がなく、近くの森では地元民らが散歩や散策などをして思い思いの時間を過ごしています。
毎年5月の第一日曜日には李氏朝鮮王室の祭礼儀式「宗廟祭礼祭」がここで行われることでも有名です。韓国最大の伝統行事と言っても過言ではないほどの規模で、全州李氏の一族の人々が集まり、伝統衣装と共に祭りを開催しています。
1995年に宗廟はユネスコの世界遺産に登録されていますが、この祭りは2009年に世界無形遺産に登録されています。
水原華城(スウォンファソン)
こちらは李氏朝鮮時代の城塞の遺跡です。正確にはソウル市ではなく京畿道水原市にありますが、ソウルからバスや地下鉄で小一時間ほどで行くことができますので、今回取り上げさせて頂きました。1794年~1796年の2年間にわたって建物が建設され、全部で35万人以上もの人々が建設に携わったと言われています。
その結果、城壁の長さは約5キロメートルにもなりました。朝鮮戦争の際に城塞の一部が破損してしまいますが、終戦後の1975年から5年の歳月をかけて修復工事がなされ、現在の姿となりました。1997年に世界遺産に登録されています。