世界遺産

歴史的建造物の多いロンドンには数々の世界遺産があります。

  • ロンドン塔
  • ウェストミンスター宮殿、ウェストミンスター寺院、聖マーガレット教会
  • キューガーデン
  • バース市街
  • ストーンヘンジ、エーヴベリーと関連する遺跡群
  • マリタイム・グリニッジ

ロンドン塔

テムズ川の岸辺、イースト・エンドに建っている中世の城塞です。地下鉄Tower Hill駅からすぐのところにあります。ロンドン塔とはいわゆる通称で、正式名称は「女王陛下の宮殿にして要塞」(Her Majesty's Royal Palace and Fortress)です。その外観からホワイト・タワーと呼ばれることもあります。

1066年に即位したウィリアム征服王がロンドンを外敵から守るための要塞を建設したことが始まりです。本体は約20年で完成し、その後ヘンリー3世が完成させました。1625年までは王室の居城として使われていたほか、天文台・造幣所・銀行などとしても使われてきたという歴史があります。

有名な処刑場・牢獄として使われ始めたのは14世紀頃からです。現在もイギリス王室が使用している宮殿ではありますが、ロンドンを代表する観光名所と言うことで、多くの観光客が足を運んでいます。

また、ロンドン塔はかつての王室の宝物庫でもあったため、クラウン・ジュエルの一部はロンドン塔内のジュエル・ハウスに保管されてきました。

現在は展示場に世界最大のダイヤモンド「偉大なアフリカの星」を始めとした様々な宝石類が展示されています。ちなみに「偉大なアフリカの星」は530.20カラットもあるというから驚きです。

もうひとつトリビア的な情報として、よく知られているのがカラスです。ロンドン塔では世界最大級の大きさであるワタリガラスが何羽か飼育されています。

これはチャールズ2世が占い師から「カラスがいなくなるとロンドン塔が崩れ、ロンドン塔を失った英国が滅びる」と予言されたことが発端で、以来何羽かのワタリガラスを飼育するという風習が始まったそうです。

ウェストミンスター宮殿、ウェストミンスター寺院、聖マーガレット教会

ウェストミンスター宮殿

現在イギリス議会が議事堂として使用している宮殿です。併設されている時計塔「ビッグ・ベン」と共に、ロンドンを代表する観光名所として知られています。1090年にウィリアム征服王の時代に建物は完成し、しばらくは王の住居として使用され続けましたが、13世紀頃から審議の場として活用され始めました。

1834年に大火災が発生し、宮殿の大半は焼失してしまいました。ウェストミンスター・ホール、ジュエル・タワー、聖ステファン教会の地下室、回廊のみが残るという結果になってしまいました。

その後名建築家として名高かったチャールズ・バリーの設計によってゴシック様式の厳格なイメージを持った建物に再建されましたが、再び第二次世界大戦で被害を受けてしまいます。

今度はジャイルズ・ギルバート・スコットの設計によって復活を果たし、現在の姿となりました。なお、ウェストミンスター・ホールは最初に作られたときから生き延び続けています。

ウェストミンスター寺院

ウェストミンスターにあるイギリス国教会の教会です。王室の教会をして知られ、イギリス国内の祭事や式典などの舞台でも使用されています。ウェストミンスター宮殿と隣接しているうえ、名前も非常に似通っていることから、よく外国人観光客から間違われたりしますが、全く異なる建造物です。

この教会は11世紀にエドワード懺悔王が建設し、約200年後にヘンリー3世が当時フランスで流行していたゴシック建築に改築させました。14世紀末にほぼ完成しますが、ファサード部分は16世紀に、塔は17世紀にそれぞれ完成し、現在の姿となりました。なお、最初に建てられたときから、この教会で英国国王の戴冠式が行われています。

また、内部の壁と床には歴代の王や女王、政治家などが多数埋葬されていることでも有名で、アイザック・ニュートンやジョージ・グラハムなどといったイギリスの著名人がこの地に眠っています。

聖マーガレット教会

ウェストミンスター寺院と同じ敷地内にあるイギリス国教会の教会です。聖マーガレットに捧げられている、ウェストミンスター宮殿の教区教会でもあります。

一括りで一緒に世界遺産に登録されているウェストミンスター宮殿・ウェストミンスター寺院と比べると観光の魅力には欠けますが、現在も上流階級の結婚式場としてよく使われており、イギリス元首相ウィンストン・チャーチルもこの教会で挙式しています。

キューガーデン

キューの王宮植物園群・キュー植物園などと表記されることもあるロンドン南西部のキューにある王立植物園です。120ヘクタール以上もあるという広大な敷地には2万5千種類もの植物が植えられています。

テュークスベリーのケープル卿が熱帯植物を集めた庭を作ったことが始まりで、その後、拡張を重ね現在の規模になりました。ジャンル別に世界のあらゆる植物が集められていて、全てを見て回るのは1日では足りないほどです。京都の西本願寺の唐門を複製した門も設けられています。

バース市街

イギリス南部のバース・アンド・ノース・イースト・サマセットにある街です。紀元前から温泉地として知られており、1世紀のローマ帝国時代にローマ式の大浴場や神殿が建築され、最も栄えたと言われています。その後ローマの衰退と共に荒廃しますが、18世紀に再発見され、上流階級の保養地になりました。博物館「ローマン・バス」や、「ファッション博物館」「ロイヤル・クレッセント」などが主な見所です。

ストーンヘンジ、エーヴベリーと関連する遺跡群

ストーンヘンジはソールズベリーの南ウィルトシャーにある、先史時代の巨石建造物群です。エーヴベリーは北ウィルトシャーにある巨石建造物群です。それぞれお互いに30キロほど離れていますが、世界遺産には一緒に登録されています。

特に有名なのは前者のストーンヘンジで、ロンドンからはストーンヘンジと前述のバースを巡る1日ツアーなどが催行されています。世界で最も有名な先史時代の遺跡として知られているストーンヘンジですが、未だに建造目的は明らかにされていません。

マリタイム・グリニッジ

海事都市グリニッジ・河港都市グリニッジなどと表記されることもありますが、テムズ川南岸に位置しているグリニッジは街全体が世界遺産に登録されています。

グリニッジ子午線が通っているグリニッジ天文台がある都市としてよく知られており、外国人観光客もロンドンと併せてよく足を運んでます。グリニッジ・パークの小高い丘の上にある「旧王立天文台」や「国立海事博物館」などが主な見所です。