美術館・博物館
イタリアには数多くのミュージアム(美術館・博物館)がありますが、その中でも特に有名なところや人気のあるところを都市別にいくつかピックアップしてみました。上から「ローマ→ミラノ→ベネチア→フィレンツェ」の順にご紹介しています。
ローマ
イタリアの首都で、世界有数の観光都市であるローマには数々のミュージアムが存在します。博物館よりは美術館の方が数は多いのですが、以下でご紹介するいずれの施設も、観光ガイドブックで取り上げられるほど有名なところばかりです。
(参考:ローマのおすすめ観光スポット)
ボルゲーゼ美術館
ローマにある80ヘクタールの広大な庭園ボルゲーゼ公園の中にある美術館です。イタリア・ルネサンスおよびバロック美術を中心とした、ボルゲーゼ家によって収集された美術コレクションが展示されています。
建物は1616年に完成し、当時はボルゲーゼ家の別荘として利用されていました。現在のように美術館として一般に公開されるようになったのは1902年からです。1階には彫刻のコレクションが、2階には絵画が展示されています。ベルニーニやミケランジェロなどといった著名な芸術家の作品も数多く収蔵されています。
バチカン美術館
こちらはその名の通り、カトリックの総本山であるバチカン市国にある美術館です。こちらには歴代のローマ教皇のコレクションを収蔵・展示されており、500年以上もの長い歴史を誇っています。
バチカン宮殿の大部分を占めているとても大きな美術館で、そのサイズは世界最大級です。そのため全てをじっくり見て回るとかなりの時間を要します。館内にはミケランジェロやラファエロなどといった世界的に名を知られている芸術からの作品が多数収蔵されており、ローマを代表する美術館となっています。
ヴィラ・ジュリア国立博物館
ボルゲーゼ公園の北西の位置に立っている博物館で、エトルリア美術を収蔵展示しています。そのためどちらかというと美術館という印象の方が強いです。博物館として一般に公開されたのは1889年で、既に100年以上の歴史のある施設です。
ローマ国立博物館
ローマのテルミニ駅からすぐのところにある博物館で、古代ギリシア・古代ローマの彫刻や壁画などを展示しています。古代ローマの浴場跡に建っている博物館です。
ミラノ
人気の観光国として知られているイタリアには様々な美術館や博物館が存在します。そしてそれはミラノも例外ではありません。規模の大きな施設もあります。こちらでは中でも特に有名なところをピックアップしてみました。
(参考:ミラノのおすすめ観光スポット)
ドゥオモ美術館
ドゥオモと言えば前述の通り、ミラノを代表する観光スポットとして有名ですが、そんなドゥオモに向かって広場右手にあるのがドゥオモ美術館となります。ヴィスコンティ家・スフォルツァ家・オーストリア提督など、ミラノの歴代支配者の住居として使われていた建物の中に入っています。
建物自体は13世紀の貴族の館を建築家のペエルマリーニが18世紀に改修したものです。ドゥオモ付属工房が製作した14世紀から20世紀にかけての工芸品が展示されているほか、同じ建物の中には美術品が展示されている市立現代美術館があります。
アンブロジアーナ絵画館
1603年に建てられた絵画館で、同じ建物の中にアンブロジアーナ図書館も併設しています。この絵画館にはレオナルド・ダ・ヴィンチの「音楽家」をはじめとしたルネサンス期の絵画が展示されています。また図書館の方にはレオナルド・ダ・ヴィンチの有名な『アトランティコ手稿』12巻が収蔵されています。
ブレラ絵画館
15~18世紀のヴェネツィア派、ロンバルディア派の作品が非常に充実しており、イタリアを代表する美術館の一つに数えられています。建物は17世紀に建てられたイエズス会の施設で、現在はブレラ美術大学の付属絵画館となっています。
あのナポレオンによって美術館として整備され、1809年に一般公開されたほか、1882年には国立美術館として開館しました。ジョヴァンニ・ベリーニの『ピエタ』『聖母子』、ラファエロ『聖母の婚礼』、アンドレア・マンテーニャ『死せるキリスト』などなど、名作傑作揃いで素晴らしいコレクションとなっています。
スフォルツェスコ城美術館
前述のスフォルツェスコ城の中にある広々とした美術館で、館内は複数のセクションに分かれており、1階は彫刻の展示室、2階は絵画の展示室となっています。
15室にはミケランジェロが死ぬ3日前まで制作していた最後の作品「ロンダニーニのピエタ」などが展示されています。レオナルド・ダ・ヴィンチが描いたと言われている天井画も必見です。
ベネチア
イタリアと言えば世界遺産やショッピングなどがよく知られていますが、忘れてはいけないのが文化施設です。早速ですがこちらのスペースを使って、ベネチアにあるおすすめの美術館・博物館をご紹介したいと思います。
(参考:ベネチアのおすすめ観光スポット)
コッレール美術館
ベネチア観光の中心的スポットであるサン・マルコ広場の西側に建っている新行政官の2階3階に入っている美術館です。2階は歴史館、3階は絵画館となっています。この美術館には14世紀から18世紀までのベネチアの美術作品や歴史資料などが収蔵展示されています。
アカデミア美術館
ベネチアを代表する美術館として知られており、14世紀から18世紀までのベネチア派絵画を中心にコレクションしています。鮮やかな色使いと油彩によって独特の魅力を放っているベネチア派絵画ですから、どれも見ていてうならされます。
有名どころだと、ジョヴァンニ・ベリーニの「洗礼者ヨハネと聖母子」「双樹の聖母」、ティツィアーノの「聖母マリアの神殿奉献」「洗礼者ヨハネ」、レオナルド・ダ・ヴィンチの「ウィトゥルウィウス的人体図」などが収蔵されています。
ベネチアのみならず北イタリアをも代表する美術館とも言えますので、ぜひ足を運んでみてください。
ペギー・グッゲンハイム・コレクション
ソロモン・R・グッゲンハイム財団が運営している美術館の一つで、こちらもカナル・グランデ沿いに建っています。シュールレアリズムなどを中心にモダンアートのコレクターとして知られているアメリカ人女性ペギー・グッゲンハイム(ソロモン・R・グッゲンハイムの姪)がコレクションした作品が展示されています。
ピカソやブラック、ミロ、シャガールなどといった著名芸術家らの作品も多数展示されており、見逃せません。なお、この美術館の建物は18世紀半ばのヴェニエール・デイ・レオーニ家の邸宅を利用しており、ペギー・グッゲンハイムはその生涯を終えるまでの約30年間をここで暮らしました。
フィレンツェ
フィレンツェには数々の美術館と博物館(Museum)がありますが、中でもおすすめの施設をご紹介したいと思います。こちらご紹介する施設はいずれも非常に有名で、地元からも外国人観光客からも人気の高いところばかりです。もしフィレンツェに旅行などで訪れることになった際には、ぜひ足を運んでみてください。
(参考:フィレンツェのおすすめ観光スポット)
アカデミア美術館
フィレンツェにある美術学校フィレンツェ美術学校の美術館です。後述のウフィツィ美術館と比べると規模こそそれほどではありませんが、ここにはとても有名な作品が展示されています。日本人でも多くの方が知っている作品で、これがアカデミア美術館の目玉となっています。さて、その作品とは何でしょうか?
ヒントは「彫刻であること・4メートルを超える大作であること・彫刻自体も作者も非常に有名であること」などです。もうお分かりの方もいらっしゃるかと思いますが、答えはダヴィデ像です。
イタリアルネサンス期の芸術家ミケランジェロ・ブオナローティの傑作であるダヴィデ像がここにあるのです。他にも多数の傑作・名作が展示されていますが、やはり1番の注目の的はミケランジェロのダヴィデ像と言えます。
ウフィツィ美術館
ウフィツィ美術館は、近代式の美術館としてヨーロッパ最古といわれている美術館で、メディチ家の歴代コレクションが2500点以上収蔵されています。400年以上前にはフィレンツェ共和国政府の政庁舎として使われていました。美術の教科書などにもよく登場する「ヴィーナスの誕生」などといった名画が展示されています。
ピッティ宮殿
ピッティ宮殿は、ルネサンス様式の広大な宮殿で、アルノ川の西岸に建っています。前述のウフィッツィ美術館とはヴァザーリの回廊を通じて結ばれています。
ピッティ美術館・近代美術館・銀器博物館・衣装博物館・陶磁器博物館・馬車博物館といった複数の美術館から構成されていて、その多くがメディチ家によって収集されたコレクションを展示しています。
考古学博物館
イタリア有数の考古学に関する博物館です。古代エジプト・古代ギリシャ・古代ローマ・エトルリアの文化遺産を収蔵・展示しています。前述のウフィツィ美術館の考古遺物を移動して、開館しているため、収蔵品の多くがメディチ家のコレクションとなっています。