世界遺産

パリにある世界遺産の特集です。エッフェル塔からサン・ルイ島にかけての一帯が「パリのセーヌ河岸」として世界遺産に登録されています。エッフェル塔やルーヴル美術館、シャイヨー宮など、多数の建造物が含まれています。

  • マレ地区
  • パリ市庁舎
  • ルーヴル宮殿(ルーヴル美術館)
  • カルーゼルの凱旋門
  • チュイルリー庭園
  • コンコルド広場
  • マドレーヌ寺院
  • シャンゼリゼ通り
  • グラン・パレ、プティ・パレ
  • シャイヨー宮
  • オルセー美術館
  • ブルボン宮殿
  • アンヴァリッド
  • シャン・ド・マルス公園
  • 陸軍士官学校(エコール・ミリテール)
  • エッフェル塔
  • ノートルダム大聖堂
  • パレ・ド・ジュスティス(裁判所)
  • サント・シャペル
  • コンシェルジュリー
  • ランベール邸、ローザン邸
  • サン・ルイ・アン・リル教会
  • ポンヌフ
  • アレクサンドル3世橋

こちらが「パリのセーヌ河岸」として世界遺産に登録されている施設の一覧です。各施設について以下に簡単なご紹介をしたいと思います。

マレ地区

16世紀半ばからマレ地区には貴族の邸宅が建ち並ぶようになり、現在でもそれらの館を見ることができます。現存する最も古い館はサンス館です。現在はフォルネイ図書館として利用されています。その他カルナヴァレ博物館やフランス歴史博物館・人形博物館などといった見所があります。

その他の情報として、19世紀以降ユダヤ人が多く住み着いたことからユダヤ人街があるほか、ゲイタウンとしても有名で、男性同士のカップルや女性同士のカップルの姿もよく見かけます。

パリ市庁舎

ノートルダム大聖堂からセーヌ川を橋で渡った先にある、重厚感のある外観をした建物がパリ市庁舎です。建物正面にある大きな時計の下には「自由・平等・博愛」という文字が刻まれています。

旧市庁舎は1871年に火災で焼失してしまい、その後再建されて現在の姿となりました。ちなみに冬の時期になると正面広場にアイススケートリンクが登場します。

ルーヴル宮殿(ルーヴル美術館)

12世紀以降、歴代国王が自身の宮殿として利用してきたルーヴル宮殿は、1793年にルーヴル美術館として一般公開されました。公開以来拡張や増設などを続け、現在では世界最大級の美術館として世界的に知られています。

ニューヨークのメトロポリタン美術館やロンドンの大英博物館と並んで、世界三大ミュージアムの一つにも数えられています。同時にヨーロッパで最も古い美術館の一つとしても名を刻んでいます。展示は以下の部門に分かれています。

  • 絵画部門
  • 彫刻部門
  • 工芸部門
  • イスラム美術部門
  • 古代エジプト部門
  • 古代オリエント部門
  • グラフィック・アート部門
  • 古代ギリシア・エトルリア・ローマ部門

これらの各部門の他、ルーヴル宮殿自体の歴史や遺構を残した展示もあります。展示されている作品数は30万点以上もあり、主要な作品だけをピックアップしてみて回ってもまる1日以上かかります。

ルーヴル美術館で展示されている作品は古代エジプト美術・古代ローマ彫刻・古代オリエント美術・中世・ルネサンス・バロック・ロココなどの時代が中心となっており、19世紀から20世紀前半にかけた近代の作品はオルセー美術館、現代の作品は国立近代美術館(ポンピドゥ国立美術文化センター内)に収蔵展示されています。

レオナルド・ダ・ヴィンチの「モナ・リザ」「聖アンナと聖母子」「洗礼者ヨハネ」、ラファエロの「聖母子<美しき女庭師>」「バルダッサーレ・カスティリオーネの肖像」、ミケランジェロの「瀕死の奴隷」などなど、非常に有名な傑作が多数展示されていますので、パリに来たからには必ず足を運ぶようにしましょう。

カルーゼルの凱旋門

ルーヴル美術館の西に位置するカルーゼル広場にある大きな凱旋門です。高さ19メートル・幅23メートル・奥行き7.3メートルのこの門は、1805年のナポレオンの勝利を記念し、シャルル・ペルシェとピエール・フランソワ・レオナール・フォンテーヌのデザインによって1808年に完成しました。

カルーゼルの凱旋門の真ん中のアーチから西を覗くと、チュイルリー公園・コンコルド広場中央のオベリスク・シャンゼリゼ通り・エトワールの凱旋門が一直線上に並んでいるのが分かります。見事に計算された眺望をぜひ感じてみて下さい。

チュイルリー庭園

かつてルーヴル美術館の西にはチュイルリー宮殿があり、チュイルリー宮殿の庭としてチュイルリー庭園がありました。チュイルリー宮殿は1871年にパリ・コミューンの鎮圧の最中に焼失してしまいましたが、現在も庭園が残っています。

庭園内にはカフェもあり、天気の良い日にはテラス席で多くの人々が思い思いの時間を過ごしています。なお、夏には移動式遊園地が登場し、観覧車などといったアトラクションを楽しむこともできます。

コンコルド広場

中央に建っているエジプトから贈られたオベリスクが特徴的な、パリを代表する有名な広場です。チュイルリー庭園とシャンゼリゼ通りに挟まれたところにあります。

18世紀に広場が整備された頃にはルイ15世の騎馬像があり、「ルイ15世広場」と呼ばれていましたが、その後のフランス革命時に騎馬像が取り払われ、コンコルド広場と呼ばれるようになりました。

この広場から西にエトワールの凱旋門、東にカルーゼルの凱旋門、南にブルボン宮殿、北にマドレーヌ寺院を眺めることができます。

マドレーヌ寺院

マドレーヌ教会と表記されることもありますが、こちらは聖女マグダラのマリアを守護聖人とするカトリック教会です。古代ギリシア・古代ローマの神殿を模したネオ・クラシック様式の外観が壮大で、正面から建物を見上げると本当に古代ギリシャの神殿のように感じられます。

中に入るとすぐ左にリュードの『キリストの洗礼』の大理石像が、右にはプラディエの『聖母マリアの婚礼』像が置かれています。そして主祭壇ではマロチェッティによる『聖マグダラのマリアの歓喜』像を見ることができます。

シャンゼリゼ通り

オ~シャンゼリゼ~♪の唄でお馴染みのシャンゼリゼ通りはパリを代表する観光名所です。「世界で最も美しい通り」と賞されているこの通りは、エトワールの凱旋門からコンコルド広場まで約1880メートル・幅70メートルに渡って延びています。

通りの両サイドには高級ブランドブティックや名門カフェ・レストランなどが建ち並び、ゴージャスな雰囲気の中散歩を楽しむことができます。

特に冬の時期になると非常に綺麗にライトアップが施され、これを見るために世界中から集まってくる旅行客も少なくありません。

グラン・パレ、プティ・パレ

共に1900年のパリ万博万国博覧会のために建てられた建築物で、前者はグランパレ・ナショナル・ギャラリー(国立グランパレ美術館)として、後者はパリ市立プティ・パレ美術館として公開されています。

グラン・パレはシャンゼリゼ通りとセーヌ川に挟まれるようにして建っており、イオニア様式の円柱が並ぶ正面ファサードが特徴的です。また、鉄骨とガラスでできたドーム型の屋根も見所の一つです。

プティ・パレは「プティ(フランス語で小さいの意味)」と付いていますが、実際はとても大きな建物で、こちらもドーム屋根やファサードが魅力的です。

シャイヨー宮

こちらは1937年のパリ万国博覧会の際に建てられた宮殿で、エッフェル塔とはセーヌ川を挟んで反対の場所に位置しています。新古典主義建築の様式で、まるで鳥が大きく翼を広げたような形をしているのが特徴的です。

建物はポール・ヴァレリーの言葉の引用で装飾されていて、内部には海洋博物館・人類博物館・建築文化財博物館が入っています。また、1200席もの座席を有しているシャイヨー劇場もあります。

オルセー美術館

オルセー美術館は、ルーヴル美術館と同様にパリを代表する美術館です。1900年のパリ万国博覧会の際に作られたオルセー駅の鉄道駅舎兼ホテルをそのまま利用しているため、美術館としては非常にユニークな形となっています。

基本的には2月革命のあった1848年から、第一次世界大戦が勃発した1914年までの作品を展示しています。これより前の作品はルーヴル美術館で、後の作品は国立近代美術館で見ることができ、それぞれの美術館を回ると美術の歴史の旅を楽しむことができます。

外国人観光客からすると、どうしてもルーヴル美術館の陰に隠れてしまいがちですが、収蔵展示されている作品も、建物そのものも素晴らしいので、ぜひ足を運んでみて下さい。

ブルボン宮殿

コンデ公ルイ3世の妻であったルイーズ・フランソワーズ・ド・ブルボンによって建てられた宮殿です。これといった見所はありませんが、現在はフランス国民議会の議事堂として使用されています。

アンヴァリッド

ルイ14世が負傷した兵士らを看護する施設として建てた歴史的建造物です。正式名称はオテル・デ・ザンヴァリッドで、廃兵院・癈兵院とも表記されることがあります。

フランス皇帝ナポレオン1世の墓所として知られており、地下墓所に行くための入り口には「余は、余がかくも愛したフランスの市民に囲まれて、セーヌ川のほとりに憩うことを願う」というナポレオンの有名な遺言が刻み込まれています。

ナポレオン以外にもナポレオンの兄弟・子、フランス国家の作者、フランスの将軍などの廟が置かれています。

シャン・ド・マルス公園

エッフェル塔があるところに広がっている緑が綺麗な大きな公園です。パリ万国博覧会が何度も行われてきた歴史と由緒ある公園で、古くは練兵場・閲兵場として利用されていたこともあります。エッフェル塔展望台からの長めが素晴らしく、その設計には感動してしまうほどです。

また、この公園には2000年のミレニアムイベントで作られたモニュメント「平和の壁」があり、各国語で「平和」と書かれたモニュメントの間からエッフェル塔をすっぽりと入れてみることができます。

陸軍士官学校(エコール・ミリテール)

シャン・ド・マルス公園の端(エッフェル塔と逆サイド)にある大きな建物です。18世紀末に貧しい貴族のたちのためにルイ15世によって建てられた士官養成施設で、若かりしころのナポレオンが在籍したことでよく知られています。現在はフランス軍関係の様々な機関と士官養成所が置かれています。

エッフェル塔

エッフェル塔は、フランス・パリを代表するシンボル的存在です。フランス革命100周年を記念して、コンペティションで選ばれたアレクサンドル・ギュスターヴ・エッフェルの設計案によって、2年2ヶ月という早さで建てられました。

当時は世界一高い建造物としても知られていましたが、鉄の塔をパリの街に建てるということに対して反対者も非常に多かったため、完成した当時は20年限定で存続させ、その後は取り壊すことが決められていました。そして完成から20年目の1909年に、パリ市議会によって取り壊し決議が採択されます。

しかし、この時期に発明された無線通信の技術に役立てることができるということが判明し、その後、軍事用の無線電波をエッフェル塔から送信することになり、取り壊しの話は無くなりました。もし無線通信の開発がもう少し遅れていたなら、エッフェル塔は今はなかったかもしれません。

話を現在に戻しましょう。エッフェル塔には3つの展望台が設けられています。1階2階3階と上に行くにつれて料金が高くなります。エレベーターを使って登ることもできますし、2階までであれば階段を使って登ることも可能です。

エレベーター乗り場は何かと混雑することが多いですから、360段で行ける1階までは階段で登ってみるのもいいかもしれませんね。

ノートルダム大聖堂

シテ島にあるローマ・カトリック教会の大聖堂です。ゴシック建築を代表する建物として知られ、現在もパリ大司教座聖堂として使用され、非常に多くの観光客が足を運んでます。

建物は1163年にパリ司教モーリス・ド・シュリーによって起工され、1225年に完成しました。完成後も工事は続けられ、最終的な竣工は1345年とされています。

フランス革命時に大きな被害を受けますが、その後1804年にナポレオンの戴冠式が行われ、ユゴーの小説「ノートルダム・ド・パリ」で舞台となり、その重要性が見直されたことから、19世紀のゴシック・リヴァイヴァル期にウジェーヌ・エマニュエル・ヴィオレ・ル・デュクによって大修理が行われ、現在の姿となりました。

北塔側の入り口から入ると、南塔の頂上に登ることができ、そこからパリの街を見渡すことができます。387段の狭い螺旋階段を登ることになりますので、体力に自信のない方は避けた方が無難です。

ちなみに「ノートルダム」とはフランス語で「我らが貴婦人=聖母マリア」を意味します。

パレ・ド・ジュスティス(裁判所)

後述のサント・シャペルとコンシェルジュリーに挟まれるようにして建っている裁判所です。日本の最高裁判所に相当する「破棄院」、高等裁判所に相当する「控訴院」、地方裁判所に相当する「大審裁判所」がこの建物の中に入っています。

まるで美術館や貴族の館のような外観をしており、言われるまでは裁判所だと分からないような建物となっています。

サント・シャペル

「聖なる礼拝堂」という意味を持つこの教会は、シテ島にあるゴシック建築の教会堂です。パリ最古のステンドグラスでよく知られており、光の強さによって姿を変えるステンドグラスの数々はため息が出るほどの美しさです。

教会はルイ9世によって1241年に計画され、1248年に完成しました。ピエール・ド・モントルイユが中心となって設計・建築に携わったと言われており、彼はノートルダム大聖堂のファサードを作った人物としても知られています。

コンシェルジュリー

シテ島西側にあるかつての牢獄として使われたとんがり屋根が特徴的な建物です。もともとは14世紀にフィリップ美貌王(フィリップ4世)が建てさせたもので、王室管理室(コンシェルジュリー)がこの地に置かれていました。

14世紀後半から牢獄として使われるようになり、18世紀のフランス革命の際には、多くの王族・貴族などが収容され、マリー・アントワネットもここに収容されていました。現在は観光名所となっており、マリー・アントワネットが処刑される前に2か月半過ごした独房も再現されています。

ランベール邸、ローザン邸

シテ島と並ぶようにしてセーヌ川に浮かんでいるもう一つの島をサン・ルイ島と言います。ここには17世紀の貴族の館が建ち並んでおり、落ち着いた雰囲気の中散策を楽しむことができます。

そんな数ある館の中でも特に美しく、そして注目されているのが「ランベール邸」と「ローザン邸」です。いずれもチュイルリー宮殿やルーヴル宮殿を手がけたルイ・ル・ヴォーによる建築として知られています。

サン・ルイ・アン・リル教会

前述のサン・ルイ島のメインストリート「サン・ルイ・アン・リル通り」にあるこぢんまりとした教会です。礼拝堂には「受胎告知」や「キリスト誕生」などといった美しい宗教画が飾られており、静かで落ち着いた気分を味わうことができます。

ポンヌフ

パリに現存する最古の橋です。シテ島近くのセーヌ川の左岸と右岸を結んでいる、全長238メートル・幅22メートルの橋となっています。アンリ3世によって架けられたこの橋は、完成した1607年以来、何度も修復作業が繰り返されてきていますが、基本的な構造は当時のまま残されています。

アレクサンドル3世橋

1900年のパリ万国博覧会にあわせて架けられた橋です。フランス共和国の大統領サディ・カルノーとロシア皇帝アレクサンドル3世の友好の証として架けられたこの橋は、アンヴァリッド広場とグラン・パレ、プティ・パレの間を結ぶようにして架けられています。

既にお気づきかとは思いますが、橋の名前はロシア皇帝アレクサンドル3世の名前に由来しています。